居間で家族がみてたテレビを聞き流しながら仕入れた知識なのだけれど、
砂糖とオリーブオイルを食事前に摂るだけでやせるダイエット法があるそうな。
なんでもセットポイントというのを砂糖と油でコントロールして、
食欲を押さえ込み食事量を減らすという。
たぶん、この放送を見て試してみようと思った人は、
インチキに引っかかりやすい人だと考える。
まず、砂糖と油を食事前に摂取して
食事量を抑えるということだが、
そんなもん、当たり前だ。
砂糖により血糖値が上がり、その結果脳みそが食べ物を要求しなくなる。
油のほうは理屈は知らないのだけれども、
経験上、小腹が空いたときにナッツ類を食べると抑えられる。
たぶん胃の迷走神経が誤解して
脳みそに食べ物が入って居るぞと知らせているのだともうのだが、
これらを組み合わせれば胃と脳みそをだまして食事量を減らせる。
方法としては間違ってないのだけれども、
ここで気に入らなかったのがセットポイントという概念を作り出して
因果関係を説明していたことだ。
砂糖で血糖値を動かしたときの変化と、
油で胃をごまかした事の変化を別物としないで、
一緒くたの現象にしたことが、なんとも脳みそを使ってない空気を感じた。
自然科学の分野を勉強しようとすると、
まずは場合分けや条件を絞り込むことを覚えさせられる。
たとえばメダカの発生を観察しようとしたとき、
適当に集めてきたメダカで観察するのではなく、
できるだけ同一条件のメダカを
同じような環境になるようにして
それから特定の条件(この場合は温度とかね)を動かして
結果がどのように変わっていくかを観察する。
できる限りパラメーターを固定して
そのうえで因果関係を特定していこうというのが
自然科学の方法論だったりするのだ。
(先端分野ではそうとも言い切れないけど、基本的にはそういう考え方)
それで、番組でのダイエットの場合、砂糖と油の摂取というのは
とりあえず置いておいても、実践していた方の食生活がひどすぎる。
俳優さんなのだが、稽古後にラーメンを食べに行って、
そのあと居酒屋で飲み食いし、はしご酒もしていたように記憶する。
番組内では数日後の姿として、
簡単な運動や、稽古場への通勤をタクシーから電車と歩きに代えたとあり、
その結果減量が認められたのだが、
これは、当たり前のことだ。
普通は動けば痩せる。
ここで、セットポイントに話を戻すと、
たぶん観ている人には通勤や運動などは目に入らないで、
砂糖と油を摂取するだけと言う点が記憶に残るのだと思う。
その結果、動きもせずに食事の前に砂糖をなめるようになる。
食事というのは一日やそこらでは量は減らない。
なので、摂取カロリー量が変わらないまま砂糖が追加されるようになる。
おそらく数日もしないうちに痩せないことに気づきやめてしまうことであろう。
ここで重要なのは、観ている人の記憶に
砂糖と油を摂取するだけという印象しか残っていないのではないか
と言うことだ。
体重のコントロールは難しいことはなく、
適量を食べて適当に体を動かせば痩せる。
残念ながら適切に体を動かすための時間がないために、
食事だけでどうにかしようとするので迷走するのだが。
そこで自分の体を観察することもなく、
ただただテレビで観た簡単な方法を試すだけの人は、
自分はダイエットして居るんだという満足のために
砂糖と油を摂るだけという方法を試すようになる。
要はさほど考えてないのだ。
考えてない人はセットポイントという不必要な概念を持ち出されて
既知の事実を組み合わせて、さも新しい発見のようにしたものに踊らされ、
それを簡単に信じてしまい、そして自分も試してしまう。
娯楽番組でやっているダイエットだからかわいげのあるものだが、
これがお金が絡んだものになると甚大な被害に遭うことになるだろう。
たとえば円天のようなものだ。
知らないということは罪ではないが、
考えないというのは罪なのである。
そしてその罰は自分にもどってくる。
せっかく無駄にカロリーを摂取しているのだから、
脳みそを使えばいいのにと思うのだが。
0 件のコメント:
コメントを投稿